住宅資金特別条項付きの個人再生による連帯保証人への効果

個人再生では、住宅ローンがある場合に住宅資金特別条項を適用した個人再生(いわゆる住宅ローン特則)を利用するケースが多くあります。
この住宅ローン特則を使えば、住宅ローンの支払いは従前のままにして、今までどおり支払いを継続しながら、他の債務・負債を圧縮するということができます。
この場合に、住宅ローンについて配偶者や家族が連帯保証人になっていた場合に、その保証債務には再生の影響が及ぶかどうかが問題となります。

個人再生の効力と範囲

再生手続きで再生計画が認可決定がおり確定した場合、再生計画にしたがって再生債権の権利内容が変更されます。
再生計画の効力が及ぶ範囲は、再生債務者とすべての再生債権者に影響を及ぼすことになりますが、再生債務者の連帯保証人がいる場合に、その連帯保証人に対して再生の影響が及ぶかどうかが問題となります。
この点、民事再生法177条2項では、再生債務者の保証人には、影響を及ぼさない旨が規定されています。

つまり、再生計画の認可決定(確定)がされた場合でも、再生債権者から、再生債務者の保証人に対する権利は影響がなく、債権者は通常通り保証人への請求は行うことができるということになります。

(再生計画の効力範囲)
第百七十七条 再生計画は、再生債務者、すべての再生債権者及び再生のために債務を負担し、又は担保を提供する者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。
2 再生計画は、別除権者が有する第五十三条第一項に規定する担保権、再生債権者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び再生債務者以外の者が再生債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。

個人再生の住宅ローン特則で保証人への影響と効果

個人再生の再生計画で住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を定めている場合には、民事再生法203条の規定に注目してください。
この規定では、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、177条2項の規定は、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けた者が 再生債務者の保証人対して有する権利については、適用しない旨定めています。
これにより、「住宅資金特別条項」いわゆる住宅ローン特則によって、権利の変更を受けた債権者(金融機関等)は、再生債務者の保証人に対して有する権利について、177条2項を適用しないということになります。

つまり、住宅ローン特則の場合には、主債務者について住宅資金特別条項付きの再生計画の認可決定(確定)がされた場合、その住宅資金特別条項の効果は、連帯保証人にも及ぶことになります。主債務者が再生計画にしたがって弁済を継続していれば、連帯保証人に影響が及ぶことはありません。

(住宅資金特別条項を定めた再生計画の効力等)
第二百三条 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、第百七十七条第二項の規定は、
住宅及び住宅の敷地に設定されている第百九十六条第三号に規定する抵当権並びに
住宅資金特別条項によって権利の変更を受けた者が 再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利については、適用しない。
この場合において、再生債務者が連帯債務者の一人であるときは、住宅資金特別条項による期限の猶予は、他の連帯債務者に対しても効力を有する。
2 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、住宅資金特別条項によって変更された後の権利については、住宅資金特別条項において、期限の利益の喪失についての定めその他の住宅資金貸付契約における定めと同一の定めがされたものとみなす。ただし、第百九十九条第四項の同意を得て別段の定めをすることを妨げない。
3 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定した場合における第百二十三条第二項及び第百八十一条第二項の規定の適用については、これらの規定中「再生計画で定められた弁済期間」とあるのは「再生計画(住宅資金特別条項を除く。)で定められた弁済期間」と、「再生計画に基づく弁済」とあるのは「再生計画(住宅資金特別条項を除く。)に基づく弁済」とする。
4 住宅資金特別条項によって変更された後の権利については前項の規定により読み替えて適用される第百八十一条第二項の規定を、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けた者については第百八十二条の規定を適用しない。

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