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過払い金請求訴訟の流れ

過払い金返還の裁判の流れ

過払い金の返還請求手続きの流れは、まずはサラ金などの貸金業者との間で、和解交渉を行います。
しかし、和解では過払い金の返還額や返還期日の折り合いがつかないような場合には、過払い金を取り返すための裁判を行います。

提訴から判決までの流れ

1.訴状の提出(原告)

最初に、裁判を提訴するために、管轄の裁判所に対して、訴状を提出します。
(過払い金返還訴訟を起こす側が、原告となります)
過払い金返還の訴状の内容は、過払い金返還請求訴訟の訴状の見本をご覧ください。

2.第1回期日の連絡(裁判所)

裁判所から、1回目の裁判日程の連絡があります。
この裁判日程の事を、口頭弁論期日(または期日)と言います。

※第1回は原告の都合のみで決まるので、被告は答弁書を提出すれば欠席しても良い。

3.答弁書の提出(被告)

過払い金訴訟の訴状が、被告にも送達されます。
そして、被告は、答弁書を提出して、訴状に対しての認否をこたえることになります。

※被告が答弁書を提出せず、かつ第1回期日を欠席すると訴状の内容が100%認められて、被告の負け。

4.第1回期日(原告・被告)

原告が裁判所に出頭して、訴状の内容を陳述します。
被告が、答弁書の内容を陳述します。
上記のとおり、被告は答弁書を提出していれば、欠席しても陳述したものとみなされることになります(擬制陳述)。

5.準備書面の提出(原告・被告)

第一回目の期日以降は、それぞれ準備書面を提出します。
争点がある限り、第2回、第3回…と期日が続くことになります。

最初に送る主張、反論を書いた書面は、それぞれ「訴状」「答弁書」というタイトルだが、
以降は「準備書面(1)」「準備書面(2)」という名前の書類になります。

※準備書面は相手方に直送するのが基本なので、相手がきちんと受け取ったか確認するため、請書(受領書)をつけて送る。
(郵便事故・通信障害などで届いてないといけないから)
こちらが相手方の書類を受け取った場合も、届いた証明として請書を送る。

6.判決

過払い金返還の裁判を進める中で、原告・被告ともに主張を出し尽くし、裁判官が議論がしつくされたと判断した場合、裁判所が判決を出すことになります。

※判決が出た場合、被告側が任意に過払い金を支払う場合もありますが、支払わなければ、預貯金の口座などを差し押さえすることになります。また、上級審に控訴する場合もあります。

過払い金の和解をする場合

裁判を起こした場合でも、裁判の途中で和解の話し合いをすることができます。
最終の判決まで取ろうとすると時間がかかり早期に解決したいというときや、過払い金の返還金額に納得ができれば、裁判係属中でも和解で終了することが可能です。
裁判を提訴した後の和解の手続きとしても、何種類かのパターンがあります。

裁判上の和解

裁判上の和解とは、裁判の口頭弁論期日に話し合いをして、内容がまとまれば和解する手続きです。
被告が代理人で出廷している場合などに、話し合いを行います。

訴外和解

訴外和解とは、裁判の外で話し合いをし、和解をすることです。
原告と被告が、電話やFAXなどで連絡をとり、裁判の期日外での和解交渉を行います。

訴外での和解が成立した場合は、次回の裁判日程について、期日変更して対応します。
一般的に、返還期日が、次回期日から2か月後くらいであれば、期日変更して延期することができます。
(たとえば、次回が1月末なら、3月末くらいまでの返還予定ならOK)

過払い金の返還期日が先になるような場合には、以下の和解に代わる決定や、受諾和解などの手続きをとることになります。

和解に代わる決定(簡易裁判所)

和解に代わる決定とは、簡易裁判所で行う裁判上の和解手続きの一つです。

訴外和解が成立した場合でも、入金予定日がかなり先になるなど、期日変更では対応できない場合などに、和解に代わる決定を出してもらう、という手続きが行われることが多くあります。
裁判所が和解に代わる決定を出した場合、その効力は、裁判上の和解と同一の効力があります。

なお、この和解に代わる決定は、簡易裁判所のみに認められている特則です。
略して「和決」(わけつ)と呼ばれることもあります。

受諾和解(地方裁判所)

受諾和解とは、地方裁判所で行う裁判上の和解手続きの一つです。
和解条項案について、当事者の一方が受諾するという書面を出し、もう一方が口頭弁論期日に出頭して受諾すれば、和解が成立したものとみなされます。
受諾和解の注意点としては、和解条項案の手続きに2週間くらい必要となる点です。
2週間ないときは一度期日を挟まないといけないことが多く、期日に原告が出廷する必要があります(期日変更で対応できる場合もあり)。

和解条項案のやりとり

受諾和解のためには、事前に書類上での手続きが必要になります。

  1. 原告・被告が受諾和解の上申書と和解条項案を裁判所へ提出します。
    (事前に訴外で和解の話し合いができていれば、文言など形式をそろえることもある)
  2. 裁判所が、欠席予定の当事者(通常は被告)に、和解条項案を送付する。
  3. 欠席当事者(通常は被告)が、裁判所へ受諾書・印鑑証明書を提出する。
  4. 裁判期日に、出席当事者(通常は原告)が、和解条項案をその場で受諾する。

以上の手続きにより、最終的に原告が和解条項案を期日に受諾することによって、和解が成立したとみなされます。

参考条文

和解に代わる決定 民事訴訟法275条の2

(和解に代わる決定)
第二百七十五条の二
金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、裁判所は、被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、被告の資力その他の事情を考慮して相当であると認めるときは、原告の意見を聴いて、第三項の期間の経過時から五年を超えない範囲内において、当該請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをして、当該請求に係る金銭の支払を命ずる決定をすることができる。
2  前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
3  第一項の決定に対しては、当事者は、その決定の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、その決定をした裁判所に異議を申し立てることができる。
4  前項の期間内に異議の申立てがあったときは、第一項の決定は、その効力を失う。
5  第三項の期間内に異議の申立てがないときは、第一項の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

受諾和解 民訴264条

(和解条項案の書面による受諾)
第二百六十四条  当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官から提示された和解条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が口頭弁論等の期日に出頭してその和解条項案を受諾したときは、当事者間に和解が調ったものとみなす。

17条決定(調停に代わる決定) 民事調停法17条

(調停に代わる決定)
第十七条  裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。

 

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